だらだら食いが引き起こす健康問題とその影響Health Problem

だらだら食い

    • 最近の子供たちを見ていると、おなかをすかした子供に出会うことは非常に少なくなりました。お菓子やジュースがいつも手を伸ばせば手に入る環境にあるからです。お菓子やジュースは食べるのに苦労しない上、満腹感が乏しいため、いつまでもだらだらと食べ続けることができます。

      時々見かけるパターンで、子供は虫歯だらけ、親は肥満という親子を見かけます。虫歯といったら甘いお菓子を連想します。もちろん肥満も甘いお菓子が原因で起こります。

    • [イラスト]だらだら食いイメージ
    • 図1はブドウ糖液を飲んだ直後の口の中の酸度(pH)の推移を表しています。

      酸度は急に下がり、pH5~4付近で歯は溶け始めます。(乳歯や生えたばかりの永久歯は、pH6ともっと弱い酸でも溶けるとされています。)この状態が約20分続き歯は溶け始めます。 しかし唾液によって酸が洗い流され、元の状態に戻ります。従ってだらだら食いをすると、このことが長く繰り返されますので、虫歯になりやすくなります。

    • 図1はブドウ糖液を飲んだ直後の口の中の酸度(pH)の推移を表しています。
      [図1]ブドウ糖液を飲んだ直後の口の中の酸度(pH)の推移
    • さて図2は、砂糖摂取後の血液中の糖濃度(血糖値)です。

      血糖値が上昇すると、糖分はインスリンの分泌によりグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられるので、血糖値は低下歯もとの状態に戻ります。しかし過剰のエネルギーは脂肪細胞に蓄積され、肥満になります。

      まただらだら食いは、トータルエネルギー量が増えることや、食事中は運動しないことも相まって肥満につながります。下ののだらだら食いによる虫歯の起こる曲線と、左の肥満の起こる曲線はよく似ていることがわかると思います。

      すなわち虫歯も肥満も、だらだら食いが作る生活習慣病であることがわかります。

    • [図2]砂糖摂取後の血液中の糖濃度(血糖値)
      [図2]砂糖摂取後の血液中の糖濃度(血糖値)
    • 参考までに図3には米、パン、砂糖を摂取したときの血糖値の変化を載せています。砂糖を摂取したときは他の食べ物を摂取したときより血糖値の上昇のみならず下行も激しくなります。この血糖値の大きな変化が情動の変化を大きくし、非行へつながると説く人もいます。

    • [図3]米、パン、砂糖を摂取したときの血糖値の変化
      [図3]米、パン、砂糖を摂取したときの血糖値の変化

甘くないおやつ

近では虫歯予防に熱心な保護者の方が増え、乳幼児の虫歯は減少してきました。

「私はいっさい砂糖の入ったオカシを与えていません。」とおっしゃるお母さんも少なくありません。 こんなお母さんが与えるおやつは、ポテトチップス、虫歯にならないといわれるキャンディー、噛む力を鍛えるガムなどです。 確かに砂糖は入っていないでしょうが、これでよいのでしょうか?

スナック菓子という言葉は、日本ではあまり悪く思われていません。ですがこのスナック菓子が現代っ子の肥満を引き起こしています。

スナック菓子

スナックとは、手軽に食べられる軽食、食間に食べる軽食としてアメリカを中心として普及しました。スナック菓子は主原料がデンプン・油脂・食塩。あと化学調味料で味を補っています。

100gのジャガイモ(中1個)は77kcalですが、ポテトチップスになると400~600kcal(ご飯2.5~3杯分)になり、満腹感が少ないため、子供でも一袋100gを食べることは簡単です。一日に必要なエネルギーの35%を摂ってしまい、おやつとして食べてしまうと、その後の食事が食べられなくなってしまうわけです。

子供にすすめたくないお菓子

コドモイソガシク スポ少なく ジュクカヨウ(子供忙しく、スポーツ少なく、塾通う)
コーラ
ドーナツ
モナカ
イチゴシェーク
ソフトクリーム
ガム
シュークリーム
クリームパン
スポーツドリンク
スナック菓子
ジュース
クッキー
カップ麺
ヨーグルトキャンディー
ウマカ棒

子供にあたえたいお菓子

ステキナオヤツ(素敵なおやつ)
スルメ
手焼きせんべい
納豆(甘納豆)
オヤキ
焼き芋
冷たい水

食事と唾液

しっかり噛んで食べるといいこといっぱい!

子供たちの好物といえば、カレー、シチュー、ハンバーガーなどではないでしょうか。

ついでにウインナー、スパゲッティー、インスタントラーメンというところはどうでしょうか?

これらの食べ物の共通点は、加工食品で味が濃く、あまり噛まなくても飲み込むことができることです。

要するに2回もモグモグ口を動かすと丸飲みしているわけです。あまり噛まずに飲み込むと言うことは唾液があまり出てきませんし、食べ物と唾液の混ざりも悪くなります。

最近の研究では唾液にいろいろな重要な作用があることがわかってきました。

[イラスト]食事

唾液の作用

むし歯から歯を守る作用(緩衝作用)

唾液のpHは5.5~8.0の間にあって、唾液の分泌速度が速くなるに従って大きく(アルカリ性に)なって行きます。

またお口の中にたまっている時間が長いほど唾液中から二酸化炭素が空気中に遊離するため唾液のpHはアルカリ方向に傾きます。 また唾液の成分の中で重曹(炭酸水素塩)は口腔内の酸を中和する作用があります。

歯の保護作用

萌出直後の永久歯、特に6歳臼歯の表層エナメル質の高度は、成人のエナメル質の高度よりもかなり低いことが知られています。これは石灰化直後のエナメル質の結晶密度が不完全であるためであり、当然のことながらむし歯になりやすいのです。

唾液中のカルシウム、リン酸、及びフッ素の各イオンは、経年的に幼若エナメル質のハイドロキシアパタイトと反応してその結晶の欠陥格子を埋め、成熟エナメル質の完全な結晶構造へと成長させることで、エナメル質の耐酸性を上昇させ歯をむし歯から保護する働きを行っています。

歯周疾患の予防

唾液タンパク質(酸性高プロリンタンパク質、スタセリン、シスタチン)は自然の状態で歯石形成を抑制する働きがあります。

抗菌作用

唾液には、ペルオキシダーゼ、リゾチーム、ラクトフェリンシスタチン、ムチン、ヒスタチンなど抗菌作用のある物質が多数含まれています。また、「白血球由来の分泌型タンパク分解酵素阻害物質」が含まれていて、微量のこの物質がHIV感染(エイズ)を予防していることが最近明らかになりました。